にいがたの人物伝

にいがた自由民権運動(じゆうみんけんうんどう)の指導者
山際七司(やまぎわしちし)

イラスト:八尋峻

時は新しい時代をむかえた、明治のはじめころ。西かんばらの木場村に山際七司(やまぎわしちし)というひとりのわかものがおりました。

山際:「ああ、これも戊辰戦争(ぼしんせんそう)をたたかったが、幕府(ばくふ)はたおれてしまった。しかし、わかった。新しい時代が来ているのだ。」

村人:「でも、ワシたちのせいかつがこれからどうなるのか不安です。」

山際:「おれの蒸気船の会社もつぶれてしまった。だが、田や畑をもっと増やし、工業・商業もさかんにしなければ。」

村人:「お国がよくして下さればよいのですが。」

山際:「いや・・・。おれたちがそれをのぞむなら、
俺たち自身が声をあげて、にいがたをよくするのだ。そのためには国会がひつようだ。」

山際七司はにいがた県の人たちによびかけます。

山際:「にいがたをよくするために、同じにいがたに住む人が集まり、話し合い、ともに進むことが大事です。越後、佐渡のみなさん、一緒に国会開設(こっかいかいせつ)をもとめましょう。」

村人:「私もさんせいです。ぜひ、国会の開設を。」

有志:「国会開設をもとめる声を政府にとどけるのは山際さんにおねがいしましょう。」

山際:「わかりました。かならずとどけます。」

しかし、政府は七司たちの声を受け入れませんでした。

山際:「ああ、またしてもわれわれの声を受け取ってもらえなかった。」

有志:「山際さん、がんばろう。」

山際:「ありがとうございます。にいがたの声は受け取ってもらえなかったが、東京で自由民権運動の仲間に出会いました。」

有志:「にいがたでも自由民権運動を広めましょう。」

山際:「そうだ、板垣さんににいがたで自由民権運動の話をしてもらおう」

板垣退助(いたがきたいすけ)がにいがたに来ると、たくさんの人が集まりました。

板垣:「たくさんの人にかんげいしていただき、ありがたい。」

有志:「板垣さんのお話に感動しました。わたしたちも自由民権運動に力を入れていきます。」

有志:「みなさん、東京の山際さんからでんぽうです。やりました、ついに国会が開設されるとのことです。」

一同:「おおおおおっ、やった!」

板垣:「さあ、これからです。国会開設にむけて政党(せいとう)を作るひつようもあります。みなさん、がんばりましょう。」

しかし、政府は自由民権運動をこころよく思わず、さまざまに妨害(ぼうがい)します。

有志:「せっかく、にいがたにも北辰自由党(ほくしんじゆうとう)ができたのに、山際さんがたいほされるとは・・・。」

有志:「以前の高田事件の時は政府のたくらみだったが、今度はろうやに入れられるそうだ。」

有志:「国の経済(けいざい)が悪くなって、党(とう)のお金も足りず、困っているらしい。」

有志:「党は解散(かいさん)することになるのか・・・。」

北辰自由党は解散しましたが、ろうやから出た七司は国会の選挙に当選しました。

山際:「待ちのぞんだ国会の選挙で、議員に選んでもらったよ。」

有志:「山際さん、衆院議員選挙、おめでとうございます。」

山際:「ありがとう。自由党も分れつ、解散をくりかえし、たいへんな時だが、これからいい国をつくるために自由分権運動を進めていこう。」