にいがたの人物伝

にいがた町のくらしを救(すく)った人 涌井藤四郎(わくいとうしろう)

イラスト:宮本雅子

むかし、むかし。
江戸時代のころの新潟町。
涌井藤四郎と町人たちがお寺に集まって話し合いをひらいています。

「ああ、こまった、こまった。1500両もの大金を藩(はん)に出せとの命令じゃ。」

「近ごろは米も高く、生活が苦しいのに。」

みんなでせいいっぱいお金を集めても半分にしかなりません。

涌井:「もう少し待ってもらえるように、藩におねがいしてみよう。」

しかし、話し合いに参加した町人のひとりが町の役人につげ口してしまいます。

「お役人さま、涌井らが仲間をあつめて、藩にさからおうとしてますよ。」

「なに!それは悪いやつめ。すぐに涌井らをよべ!」

とうとう涌井らはろうに入れられてしまいました。

町人たちは、涌井をとらえた役人たちにおこります。
寺のかねがなって、たくさんの町人が集まります。

武器を手に役人たちに立ち向かいます。

「ええい!しずまれ町人ども。」

「なにを、役人ども。うらみを思い知れ。」

「涌井さまを救え!悪い役人をいためつけろ。」

黒布で顔をかくした男たちがよびかけます。そうどうはどんどん町にひろがります。

ついに涌井は自由になることができました。

町人たちは役人たちを打ちやぶりました。自分たちでにいがたをよくする取り組みをはじめました。

涌井:「さあ、まずは米を安く買えるようにしましょう。」

「これで、この子にもお米を食べさせてやることができます。ありがたいことです。」

「これからは、みんなでくらしやすい町をつくりましょう。」

しかし、役人たちは二度とそうどうが起こらないように町人たちをつかまえてしまいました。

涌井はきびしく取り調べられ、とうとう死刑にされることになってしまいました。

「黒布の男たちをつかまえられなかったそうだ。」

「かわりに見せしめに、涌井さまがこんな目にあうなんてひどい・・・。」

「涌井さまー、ありがとうございましたー。」

町人たちの悲しみの中、涌井は首を切られました。でも涌井藤四郎の名は、にいがたの人々の間に、ずっと語り続けられています。