くずし字クイズ 

 くずし字クイズとは、本格的な解読は難しいなぁ、長い文章を読むのはつらいなぁ、という方に気軽にくずし字に触れて、学んでもらおうという企画です(後半に中級者向けのクイズもあります)。
これから古文書にチャレンジする方も、解読の仕方や考え方の基礎が学べるので、是非挑戦してみてください。

難易度
★ほとんど楷書
★★観察と勘で解ける
★★★よく考えよう
★★★★古文書解読の知識が必要
★★★★★いじわる問題。わかったらすごい!

くずし字クイズ 第1問 難易度★
第1問 答えと解説

【答え】  「新潟古町通」
【出典】みなとぴあ所蔵「川村家文書」
【解説】「潟」が独特ですが、新潟ローカルな漢字の略し方で「さんずいに写」という書き方もあるので、それを思い起こした方もいるのではないでしょうか。

くずし字クイズ 第2問 難易度★
第2問 答えと解説

【答え】  「越後国蒲原郡沼垂町」
【出典】みなとぴあ所蔵「川村家文書」
【解説】沼垂(ぬったり)は、新潟市域では新潟町と並んで主要な湊町でした。「国」や「郡」はくずし字で書くとこんな感じになるんですね。

くずし字クイズ 第3問 難易度★★
第3問 答えと解説

【答え】  「鳥屋ノ潟 焼島潟 大潟」
【出典】みなとぴあ所蔵『越後土産』二編
【解説】焼島(やけじま)潟は新潟市東区、大潟は西区にあった潟です。
鳥屋ノ(野)潟の「ノ」は、ほか二つと見比べると確認できますね。古文書には細かい「候」や「之」が隠れていることがあるので、こうした点に注目することも解読には大切です。

くずし字クイズ 第4問 難易度★★
第4問 答えと解説

【答え】  「あかの川」
【出典】みなとぴあ所蔵「沼垂町役所文書」
【解説】ひらがなでちょっと難しいですが、「あ」と「の」がわかれば、あとは推理できると思います。ちなみに、ひらがなの元になった字で表すと「阿可乃川」です。

くずし字クイズ 第5問 難易度★★★
第5問 答えと解説

【答え】  「新潟拾七軒町」
【出典】出典みなとぴあ所蔵「川村家文書」
【解説】拾七軒町は、現在の新潟市中央区本町通十番町、上大川前 通十番町付近の古い呼び名です。なお、クイズの古文書については、カットした部分によると本町通のものを指すようです。数字を主に考えていただきたかったのですが、くずし字にすると数字も読みにくいですね。
「軒」は難しかったかと思います。

くずし字クイズ 第6問 難易度★★★
第6問 答えと解説

【答え】  「第一大区小一区新潟医学町」
【出典】みなとぴあ所蔵「佐藤家文書」
【解説】右一行の文字をどう区切って読むかがポイントです。なお、明治五年から町や村に代わり行政区を大区小区に分ける政策が行われていて、クイズの文書もそのころのものです。

くずし字クイズ第7問 難易度★★★
第7問 答えと解説

【答え】  「関屋八ツ目」
【出典】『越後土産』初編
【解説】八ツ目はヤツメウナギのことで、信濃川河口ではかつてよくとれて食用にされていたそうです。「関」の字にある「門構え」は省略されやすい部首 です(今も略して書く人はいますよね)。

くずし字クイズ第8問 難易度★★★
第8問 答えと解説

【答え】  「信濃川船の舟うた」
【出典】『越後土産』二編
【解説】くずし字のひらがなには、多様な字体が使われます。 私たちが普段用いているひらがなの「た」は「太」が元ですが、筆で書きやすいのか「多」が元になったものもよく使われます。

くずし字クイズ第9問 難易度★★★
第9問 答えと解説

【答え】  「戌九月廿一日にいかた町中」
【出典】「新潟町会所文書」
【解説】古文書では年を表すものとして、元号とともに十干 (じっかん、甲乙丙丁戊己庚辛壬癸)と干支(えと、 子丑寅卯辰巳午未申酉戌亥)が使われます。 戌(いぬ)は十干の「戊」(つちのえ)にも見えます が、年を表すとき十干のみで書くことは基本的になく、 十干は干支と組み合わせて使います。クイズのものは 慶長十五年(庚戌)の文書ですが、「庚」は略されて います。 あと「にいかた」は、仮名の元になった漢字を示す と「仁以可多」となります。

くずし字クイズ第10問 難易度★★★
第10問 答えと解説

【答え】  「新潟柾屋小路ヨリ本町通リ北遠望」
【出典】「八木家写真資料」
【解説】「小」と「北」は楷書の形が全く違うのですが、く ずし字にすると似ている字です。 ちなみに、柾谷小路は江戸時代から明治時代中頃ま では「柾屋小路」と書かれていました。

くずし字クイズ第11問 難易度★★★★
第11問 答えと解説

【答え】  「新潟新津屋小路他門川入口」
【出典】「八木家写真資料」
【解説】「路」は右半分が「水」のくずし字に似ていて、初 学者泣かせの字です。 「門」は七問目の「関」と同じ「門構え」の字で、 やはり略されて書かれています。

くずし字クイズ第12問 難易度★★★★
第12問 答えと解説

【答え】  「其御領分 越後国蒲原郡 白根町 彦兵衛 伝四郎」
【出典】「川村家文書」
【解説】白根町は現在の新潟市南区です。くずし字は「へん」 などから候補を絞っていくのですが、「其」や「御」 は絞るのが難しい字です。頻出する語でもあるので、 本格的に学ぶ際は暗記すべき文字として教えられる ことになります。 人名は、書き方のパターンが決まっているので、継 続的に読んでいけば候補を絞れるようになると思い ます。

くずし字クイズ第13問 難易度★★★★
第13問 答えと解説

【答え】  「葛塚は福湖の西涯にして」 (くずづかハふくしまがたのさいがいにして)」
【出典】『北越奇談』
【解説】「福湖」は新潟市北区の福島潟のことを指しますが、 今は廃れてしまった言葉です。「くずづかハふくしま がたのさいがいにして」は仮名の元になった字を示す と「久春川可八不久之末加多乃左以加以仁之 天」です。 くずし字の学習は仮名の方が難しいですが、読める と物語なども読めて便利です。

くずし字クイズ第14問 難易度★★★★★
第14問 答えと解説

【答え】  「嘉永四亥年十月廿九日 新斥(にいがた)加賀屋辰右衛門殿」
【出典】「平田家資料」
【解説】幕末から明治にかけて、「新潟町に「潟」の字はふ さわしくない!」として、干潟の意がある「斥」の字 が使われることがありました。例えば、新潟県立図書 館蔵の「新斥税館之図」はみなとぴあの常設展示でも 画像が使われている史料です。 実際の古文書解読では、地名や人名の答えが必ずし もはっきりわかるわけではありませんので、複数人で 読み合わせをしたり、セットになっている文書を見比 べたりして読みの確証を得ていきます。

くずし字クイズ第15問 難易度★★★★★
第15問 答えと解説

【答え】  「新津之内北上興野」
【出典】「平田家資料」
【解説】第十一問にもでてきた「北」は「小」に似ているの で要注意な文字です。 「興野(ごうや)」は「郷屋」とも書き、新田とほぼ 同じ意味と考えていただければ良いと思います。今で は少なくなりましたが、越後では多く見られた地名で、 古文書にも出てきます(西区の四ッ郷屋や南区の鋳物 師興野などが現存。) 「北上」の地名は新潟市秋葉区、新津駅の北方に残 っていて、現在は「興野」が取られています。